合同会社と株式会社の違い|設立費用6万円と16.7万円の差、税金・信用を比較【2026年】

※費用・制度は2026年10月5日時点の国税庁・日本公証人連合会・e-Gov法令検索の情報をもとにしています。税務・登記の個別の判断は、税理士・司法書士などの専門家に確認してください。
※この記事の「設立費用 6万円と16.7万円」は、どちらも電子定款を使い、司法書士報酬などを含まない法定費用だけの金額です。株式会社の16.7万円は、資本金100万円未満で定款認証手数料が1万5,000円になる条件(後述)を満たす場合の最も安いケースで、条件を満たさなければ18.2万〜20.2万円になります。
会社を作ると決めたとき、最初に迷いやすいのが合同会社にするか、株式会社にするかです。調べると「合同会社は約6万円、株式会社は約20万円」という比較をよく見かけますが、2024年12月に定款認証の手数料が一部引き下げられたことを反映していない記事も少なくありません。
この記事では、2026年時点の法定費用を資本金別に試算し、税金・役員任期・決算公告の違いを会社法の条文で整理します。あわせて、国税庁の法人番号データを当サイトで集計し、合同会社がどれくらい増えているかを示します。
合同会社と株式会社の違いを一覧で比較
先に、主な違いを表にまとめます。
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 設立費用(電子定款・最安) | 約16.7万円 | 6万円 | 登録免許税・公証人手数料 |
| 定款の認証 | 必要 | 不要 | 会社法30条1項/575条 |
| 税率 | 形態による違いはない | 形態による違いはない | 国税庁 No.5759、地方税法 |
| 役員の任期 | 取締役は原則2年(非公開会社は最長10年まで延長可) | 任期の定めなし | 会社法332条 |
| 決算公告 | 毎年必要 | 義務の規定なし | 会社法440条 |
| 出資者と経営 | 株主(出資)と取締役(経営)が分かれる | 出資した社員が原則として経営も行う | 会社法590条・599条 |
| 利益の分け方 | 株式数に応じた配当 | 定款で自由に決められる(定めがなければ出資額の割合) | 会社法454条3項・621条・622条 |
| 形態の変更 | 組織変更の手続きで、合同会社⇔株式会社の変更ができる | 会社法743条 | |
大きく違うのは設立時の費用と、設立後に続く手続き(役員の重任登記・決算公告)です。税率は会社の種類では変わりません。
合同会社と株式会社の設立費用の違い:電子定款なら6万円と約16.7万円
設立時にかかる法定費用は、登録免許税・定款認証手数料・定款の収入印紙・定款謄本の4つです。
- 登録免許税:資本金×7/1000。株式会社は15万円、合同会社は6万円に満たなければその額
- 定款認証手数料(株式会社のみ):資本金100万円未満で、発起人が全員個人かつ3人以下、発起人が設立時の株式を全部引き受け、取締役会を置かない場合は1万5,000円。それ以外の100万円未満は3万円、100万円以上300万円未満は4万円、300万円以上は5万円
- 収入印紙:紙の定款なら4万円。合同会社でも紙の定款なら4万円かかり、電子定款なら不要
- 定款謄本:1枚250円(日本公証人連合会の目安で8枚2,000円程度)
これを資本金別に計算すると、次のとおりです(計算はスクリプトで実行。司法書士報酬・印鑑代・登記事項証明書代は含みません)。
| 形態 | 資本金 | 定款 | 登録免許税 | 定款認証 | 印紙 | 合計(謄本の目安込み) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 株式会社 | 50万円 | 電子・条件に該当 | 150,000円 | 15,000円 | 0円 | 約167,000円 |
| 株式会社 | 50万円 | 紙・条件に該当 | 150,000円 | 15,000円 | 40,000円 | 約207,000円 |
| 株式会社 | 50万円 | 電子・条件に該当しない | 150,000円 | 30,000円 | 0円 | 約182,000円 |
| 株式会社 | 300万円 | 電子 | 150,000円 | 50,000円 | 0円 | 約202,000円 |
| 合同会社 | 50万円 | 電子 | 60,000円 | 不要 | 0円 | 60,000円 |
| 合同会社 | 50万円 | 紙 | 60,000円 | 不要 | 40,000円 | 100,000円 |
| 合同会社 | 1,000万円 | 電子 | 70,000円 | 不要 | 0円 | 70,000円 |
計算例:株式会社・資本金50万円なら、500,000円×7/1000=3,500円が最低額の15万円に満たないため登録免許税は150,000円。これに認証手数料15,000円と謄本の目安2,000円を足して約167,000円です。
最も安いケース同士で比べた差は約10.7万円です。「株式会社は約20万円」とする比較から計算した差(約14万円)より小さくなります。登録免許税が最低額を超えるのは、株式会社で資本金約2,143万円以上、合同会社で約857万円以上なので、多くの小規模な会社では最低額のままです。

税金の違い:法人税・均等割は会社の種類では変わらない
国税庁の「法人税の税率」の区分は、資本金1億円以下の中小法人かどうかなどで分かれており、株式会社と合同会社の区別はありません。中小法人なら、所得のうち年800万円以下の部分は15%、それを超える部分は23.2%です(2026年10月5日確認のページの表記による)。
赤字でもかかる法人住民税の均等割も、地方税法上は資本金等の額と従業者数で決まります。資本金等の額1,000万円以下・従業者50人以下なら、標準税率で道府県民税2万円+市町村民税5万円の年7万円です(自治体によっては超過課税があります)。
つまり、同じ資本金・同じ所得なら、合同会社でも株式会社でも税額は同じです。「合同会社のほうが節税になる」という話は、形態そのものではなく役員報酬の決め方などの別の論点なので、税理士に確認してください。
設立後に続く違い:役員の重任登記と決算公告
設立費用の差は一度きりですが、設立後の手続きの差は続きます。
株式会社の取締役には任期があり、原則2年、株式を自由に譲渡できない会社なら定款で最長10年まで延ばせます。任期が来るたびに、同じ人が続ける場合でも重任の登記が必要です。合同会社の社員には会社法上の任期の定めがなく、この登記は発生しません。
また、株式会社は毎年、貸借対照表(大会社は損益計算書も)を公告する義務があります(会社法440条)。合同会社には同じ規定がありません。設立後の手間とランニングコストを抑えたいなら合同会社が有利で、当サイトの運営会社も合同会社のため、毎年の決算公告や取締役の重任登記はありません。
新しく作られる会社の約3割は合同会社(法人番号データで集計)
「合同会社は信用が低いのでは」と心配する声もあります。信用は取引先や業種によって違うため一概には言えませんが、少なくとも合同会社を選ぶ人は年々増えています。
国税庁の法人番号公表サイトの全件データ(2026年8月末時点、約583万件)を当サイトで集計し、法人番号が指定された年ごとに株式会社と合同会社の件数を数えました。設立日そのものはデータに含まれないため、「法人番号の指定年」を設立の時期の代わりに使った集計です(制度開始時に既存の法人へ一括で指定された2015年10月5日の分は除外しています)。
| 指定年 | 株式会社 | 合同会社 | 合同会社の割合 | 参考:登記統計の合同会社設立件数 |
|---|---|---|---|---|
| 2016年 | 93,011 | 22,873 | 19.7% | 23,944 |
| 2019年 | 90,085 | 29,469 | 24.6% | 30,733 |
| 2022年 | 94,528 | 36,262 | 27.7% | 37,312 |
| 2024年 | 100,323 | 41,215 | 29.1% | 41,946 |
| 2025年 | 101,746 | 45,068 | 30.7% | 45,318 |
| 2026年(1〜8月) | 61,365 | 28,337 | 31.6% | ― |
割合は「合同会社÷(株式会社+合同会社)」です。株式会社は2016〜2025年を通じて年約9万〜10万件(直近3年は約10万件)で横ばいなのに対し、合同会社は2016年から2025年で約2倍に増え、新しく作られる会社の約3社に1社が合同会社になりました。法務省の登記統計(設立登記の件数)とも、各年5%以内の差に収まっています。登記統計では、2025年に設立された合同会社の約半数(48.1%)が資本金100万円未満でした。
都道府県別に、いま登記が閉鎖されていない会社で見ると、合同会社の割合は全国で14.3%。沖縄県が27.0%と突出して高く、東京都は16.1%、大阪府10.8%・愛知県11.0%は全国平均より低めでした。地域差の理由はこのデータからは分かりません。

どちらを選ぶ場合も、会社名と本店住所は先に調べる
合同会社か株式会社かを決めても、会社名と本店の住所が決まらなければ登記はできません。同じ住所に同じ商号の会社があると登記できないため、候補の社名は早めに調べておくと手戻りを防げます。
商号衝突チェッカーでは、候補の社名と法人の種類(株式会社・合同会社など)、本店の都道府県を選ぶと、国税庁の法人番号データから同じ商号・似た商号の法人の数を確認できます。
本店住所に迷っているなら、バーチャルオフィスも選択肢になります。当サイトの運営会社も、設立時はバーチャルオフィスで登記し、のちに自宅へ本店を移しました。住所を後から変えると本店移転の登記が必要になる点も含め、次の記事で比較しています。

まとめ
- 設立の法定費用は、電子定款なら合同会社6万円、株式会社は条件を満たす最安ケースで約16.7万円(差は約10.7万円)
- 合同会社でも紙の定款なら印紙代4万円がかかる
- 法人税・均等割の税率は会社の種類では変わらない
- 株式会社は役員の重任登記と毎年の決算公告が必要。合同会社は不要
- 法人番号データの集計では、2025年に法人番号が指定された会社の約3割が合同会社
参考にした情報
- 国税庁:No.7191 登録免許税の税額表(2026年10月5日確認)
- 国税庁:No.7141 印紙税額の一覧表(2026年10月5日確認)
- 日本公証人連合会:会社の定款手数料の改定(2026年10月5日確認)
- 日本公証人連合会:定款認証(謄本・電子定款の印紙)(2026年10月5日確認)
- 国税庁:No.5759 法人税の税率(2026年10月5日確認)
- e-Gov法令検索:会社法(2026年10月5日確認)
- e-Gov法令検索:地方税法(2026年10月5日確認)
- 法務省:登記統計 結果の概要(令和7年)/同(令和3年)(2026年10月5日確認)
- 国税庁 法人番号公表サイト:全件データ(2026年8月末時点のデータを当サイトで集計)