会社名の重複はどこまで許される?同じ名前の会社があっても登記できるケースと確認方法

同じ会社名でも登記できる?重複で登記NGは同じ住所・同じ商号のときだけ

※法令は2026年10月9日時点のe-Gov法令検索、同名法人の数は2026年9月19日に当サイトへ取り込んだ国税庁の法人番号データによるものです。個別の判断は、司法書士・弁護士・弁理士などの専門家に確認してください。

会社名の候補を検索したら、同じ名前の会社がすでにあった。「この名前はもう使えないのか」「あとで訴えられないか」と不安になる人も多いはずです。

結論から言うと、重複を理由に登記できないのは、同じ住所に同じ商号の会社がある場合だけです。ただし、登記できることと、その名前を自由に使ってよいことは別の問題です。この記事では2つを分けて整理し、確認の手順を紹介します。

会社名の重複で登記できないのは「同じ住所・同じ商号」のとき

商業登記法27条は、商号が他人の登記した商号と同一で、かつ本店の所在場所も同一のときは登記できない、と定めています。2つの条件が両方そろったときだけです。

ただし、重複とは別の理由で登記できない商号もあります。法務省のQ&A(Q15)も、法令で商号への使用が禁止されている場合(例:「銀行」)があると注記しています。ほかに、会社の種類を示す文字の決まり(会社法6条・7条)や、使える文字・符号の決まり(商業登記規則50条)もあります。詳しくは会社名の決め方ガイドへ。

以前は、似た商号の登記を制限する「類似商号規制」がありました。同じQ&Aには、会社法で類似商号の禁止制度が廃止されたため、商号と本店の所在地がともに同一でなければ、同一・類似の商号でも登記できると書かれています。

同じ住所に同じ商号の会社がないかは、調べておく必要があります。特にバーチャルオフィスは1つの住所に多くの会社が本店を置くため、同名の会社がすでにある可能性があります。確認方法は法人登記できるバーチャルオフィス比較で説明しています。

同じ名前の会社は全国に何社ある?法人番号データで数えた

当サイトの商号衝突チェッカーが使う国税庁の法人番号データで、同じ名前の会社の数を数えました。登記が閉鎖されていない法人を対象に、株式会社・合同会社などの法人格を除いた名前が一致する法人の数です。全角と半角、大文字と小文字、空白や「・」の違いはまとめて数え、濁点の有無やひらがな・カタカナの違いは別の名前として数えています。

名前(法人格を除く) 名前が一致する法人 名前にその語を含む法人
サンライズ 1,092 2,501
ひまわり 629 2,073
アーク 508 3,745
未来 479 5,556
エール 369 2,289
ハーツ 89 702
HEARTS 66 279
エーデル 19 113
EDEL 7 98
EDEL HEARTS 1 1

「サンライズ」と名前が一致する法人は1,092あり、内訳は株式会社589、有限会社332、合同会社148などでした。都道府県別に見ても、東京都に227、大阪府に110あります。同じ名前の会社が全国に何百社もあることは珍しくありません。

なお、この表は法人格を除いた名前で数えています。商業登記法27条の「同一の商号」を、法人格の文字を含めて比べるのかどうかは、今回確認した法務省の資料には書かれていませんでした。表の数は「登記できない会社の数」ではなく、名前がかぶっている会社の目安として見てください。

社名ごとに名前が一致する法人の数を比べた横棒グラフ。サンライズ1,092、ひまわり629、アーク508、未来479、エール369、ハーツ89、HEARTS66、エーデル19、EDEL7、EDEL HEARTS1
法人格を除いた名前が一致する法人の数。「サンライズ」は1,092あるのに対し、「EDEL」と「HEARTS」を組み合わせた名前は1社だけ(国税庁の法人番号データ、2026年9月19日取り込み分を当サイトで集計)

表の最後の「EDEL HEARTS」は、当サイトを運営する合同会社Edel Heartsです。社名は、運営者が昔から好きだった言葉を、ドイツ語の「Edel」と英語の「Hearts」で組み合わせて付けました。表のとおり、「EDEL」も「HEARTS」も単独ではほかに使っている法人がありますが、2つを組み合わせた名前は当社1社だけです。好きな言葉を組み合わせて、自分だけの名前にすることは、重複を避けるひとつの方法だと考えています。組み合わせた名前でも登録商標と重なることはあるので、後で紹介する商標の確認は別に必要です。

「登記できる」と「使ってよい」は別:会社名に関わる4つの法律

登記できた会社名でも、ほかの法律で使用の停止を求められる場合があります。2軸で整理すると次のとおりです。

法律 問題になる場面 登記できるか 使ってよいか
商業登記法27条 同じ本店所在場所に、同じ商号がすでに登記されている できない 登記の問題
会社法8条 不正の目的で、他の会社と誤認されるおそれのある名前を使う この条文では止められない 使えない。相手の会社は停止・予防を請求できる
不正競争防止法2条1項1号 需要者の間に広く知られた他人の商号と同一・類似の名前を使い、混同させる この条文では止められない 差止めを請求されることがある(3条)
不正競争防止法2条1項2号 他人の著名な商号と同一・類似の名前を使う(混同は要件ではない) この条文では止められない 差止めを請求されることがある(3条)
商標法26条 社名を商品名・サービス名にする 関係しない 自己の名称を普通に用いられる方法で表示する商標には商標権は及ばない。略称は著名な略称に限る。商標登録の後に不正競争の目的で使う場合は除く

会社法8条の違反は100万円以下の過料の対象です(978条)。ただし「不正の目的」が要件なので、たまたま同じ名前になっただけで直ちに違反になるわけではありません。

注意が必要なのは、相手が有名な会社の場合です。不正競争防止法の2号は、著名な表示なら混同がなくても対象になります。業種が違っても、有名な社名と同じ・似た名前は避けたほうが安全です。

差止めを請求できるのは、営業上の利益を侵害された、またはそのおそれがある者です(3条)。相手の表示が広く知られる前・著名になる前から、不正の目的なく使っていた場合は適用されない例外もあります(19条1項4号・5号)。

商標は登記とは別の制度です。商標法26条1項1号の例外は、自己の名称や、著名な略称を「普通に用いられる方法で表示する」場合に限られます。社名をそのまま商品名やサービス名として使う予定があるなら、同じ・似た読みの登録商標がないかを調べておきましょう。

会社名の重複を確認する手順

次の順番で確認すると効率的です。1と2で候補を絞り、3で登記できるかを確かめ、4と5で「使ってよいか」に関わる点を調べます。

  1. 商号衝突チェッカー:名前が一致する法人の数、使える文字かどうか、ドメインの空き状況をまとめて確認できます。本店の都道府県を選ぶと、その都道府県内の数も分かります
  2. 国税庁 法人番号公表サイト:商号・所在地・法人番号を部分一致・前方一致で検索できます。フリガナや英語表記は、届け出た・登録した法人の分しか公表されていません
  3. 法務省のオンライン登記情報検索サービス:登記・供託オンライン申請システムで、商号・所在地から登記されている会社を調べられます。商号調査のための検索だけなら手数料はかかりません。初回は申請者情報の登録(無料)が必要です
  4. 登記情報提供サービス:気になる会社の登記の内容を確認できる有料のサービスです
  5. J-PlatPat:社名を商品名にも使うなら、商標を読み(称呼)で検索します。読みが一致するものを探す単純文字列検索と、音や響きが似たものを探す類似検索があります
会社名の重複を確認する手順図。商号衝突チェッカー、法人番号公表サイト、法務省の商号調査、登記情報提供サービス、J-PlatPatの順に確認する
会社名の重複を確認する5つの手順。登記できるかの最終確認は、法務省の商号調査で本店にする住所を入れて行う

1と2のデータは登記そのものではありません。最終確認は、3の法務省の商号調査で本店にする住所を入れて行うのが確実です。

まずは候補名に同じ名前の会社が何社あるかを調べる

商号衝突チェッカーなら、同じ名前の法人の数と登記ルールをまとめて確認できます。商標・同じ住所の確認は対象外なので、上の手順と組み合わせてください。

商号衝突チェッカーで会社名の重複を確認する

まとめ

  • 重複を理由に登記できないのは、同じ本店所在場所に同じ商号がある場合だけ(商業登記法27条)。禁止語や文字の決まりで登記できない場合は別にある
  • 類似商号規制は会社法で廃止され、住所が違えば同名の会社があることは登記の妨げにならない
  • 「サンライズ」と名前が一致する法人は全国に1,092あり、同名の会社は珍しくない
  • 登記できても、不正の目的(会社法8条)や、広く知られた・著名な社名との混同(不正競争防止法)では差止めを請求されることがある
  • 社名を商品名にも使うなら、J-PlatPatで登録商標も確認する

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